インクルーシブコラム

インクルーシブデザイン&デザイン思考

デザイン思考を創造の力にするために(1)【はじめに】


デザイン思考(Design Thinking)はイノベーションを起こすためにとても有効なツールです。社会課題の解決、組織改革、新規事業開発、新商品・サービスの開発。こういった、複数の要素が関わる問題定義が難しく解決困難な課題を、創造力を最大限に生かすことで解決する手法です。スタンフォード大学でスキームとして確立され、これをトレースすることによって創造性を最大限に発揮することができるようになります。

デザイン思考を効果的に活用するためには、いくつか条件というか、こつのようなものがあります。これが分かっていないと本来の力を発揮できなくなります。数多く実施されていても成果が出ていない事例が多いのは、前提として必要な条件の理解が不十分なまま進めているのが原因ではないでしょうか。

方法論としては、スタンフォード大学のd-scoolなど含めて数多くのテキストがあり、学ぶことは容易です。ところが、実施する際、日本人の文脈、企業の文化などが障壁となることが多くあります。企業で新規事業の担当者として実際にデザイン思考を実施した時、教科書を書いた方は、現場で当事者として経験されたことがないのではないか、と思うこともたびたびありました。スキームとしてトレースするだけではだめで、本来の力を発揮させるためのノウハウのようなものが必要と感じています。

また、デザイン思考は単にアイディアを出すためだけでなく、具体的な成果、例えば社会課題の解決や新規事業に結びつけなければ意味がありません。有効に活用するために必要なこと、実際に直面する障壁の超え方や、効果的な運用方法について、考えてみたいと思います。

デザイン思考は、身の回りのことでも実施してみても面白い結果を得ることができます。例えば、通勤を楽しく変えるには、とか、暮らしをもっと豊かにするには、といったテーマなど。いろいろと試してみると、意外なアイディアがでてきたり、課題の解決方法の選択肢が広がって、義務で仕方なくやっていたことが楽しさに変わることもあります。みなさんも一緒に考えて実行してみませんか?

>>(2)デザインって何?

>>デザイン思考を創造の力にするために 【目次】

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