インクルーシブコラム

インクルーシブデザインの事例インクルーシブデザイン&デザイン思考

事例から考えるインクルーシブデザイン(5)Appleのユーザー・エクスペリエンス

Appleの製品を使ったことのある方ならお分かりになるかと思いますが、ユーザー・エクスペリエンス(UX)に徹底的にこだわっているのがApple。詳しい開発の経緯などは秘匿されていますが、インクルーシブ・デザインによるものづくりがされていることは疑いようがないと思います。例えばi-phone。2007年に初代が発売された時から、直感的な操作とさまざま身体制約があっても使えることを前提としています。一つ一つ挙げていくときりがありませんが、例えば、Apple製品に初期設定に最低必要なもの以外マニュアルがないことに驚かれた方も多いのではないでしょうか。もちろんインターネットが発展してからは詳しくはWebで、となっていることも増えていますが、特徴的なのは、初期設定さえ出来てしまえばその後はほとんど直感的な操作で使えてしまうこと。今でこそ他のスマートフォンやPCなどでも取り入れられていますが、当時としては画期的なこと。また画面の白黒反転、文字の拡大表示、読み上げ機能、片手で持ちながらでも親指で画面のほとんどに届くサイズ、画面表示を下半分に変えてさらに片手で操作しても届きやすくさせるなど、枚挙にいとまがないほど。それまで主流であったボタンで操作する携帯電話に比べ、多様な方々の使用を前提としおり、また、それが使いやすさにつながっています。
よくApple製品は割高、と言われますが、それでも確固たる地位を築き、売れ続けているのは、単に機能だけでなく、デザインも含めた確固たる思想が貫かれているから、と感じます。その基本は、デザインも機能も使い方もシンプルにし、障がいのある方も含めて多様な方々が直感的に使えるようにすること。これは最初のパーソナルコンピューター、Macintoshから現在まで連綿と受け継がれているだけでなく、ユーザーの気持ちまで掴むような”本当の意味でのUX”に仕上げられています。次回はこのAppleのUXについてもっと詳細に取り上げたいと思います。

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