インクルーシブコラム

障がい者の生活にある不便とユニバーサルデザイン

車椅子ユーザーの日常の不便

車椅子ユーザーが牛丼を食べるには

僕の障害は第6胸椎圧迫骨折による下肢機能、体幹機能全廃。いわゆる下半身麻痺です。下半身麻痺と言うと、足が動かないというのは想像しやすいと思いますが、僕の場合、みぞおちから下が麻痺しているというのが正確で、上半身を左右にひねる、とか 支えなしで身体を直立に保つ、という動作ができません。この感覚がなかなか伝わりづらいです。

例えば、牛丼を食べようと思う時、左手で丼を持ち上げ、右手に箸を持つと、上半身の重心が変わり、身体が前に倒れていきます。それを防ぐには、

  • ①座っているお尻を少し前にずらして浅く座り、背もたれにより深くもたれ重心をあらかじめ後ろにする
  • ②テーブルに肘をついて体を支える
  • ③丼をテーブルに置き、左手で体を支える
  • いずれかを選択しないといけません。

    ②は、いかにも行儀が悪い。③は、つゆだくだと箸ではご飯を口まで運べない、なので、①が多くなりますが、そうするとお腹の上に汁やご飯をこぼします。

    車椅子ユーザーは正しいマナーの名刺交換が苦手

    あと地味に大変なのが名刺交換。名刺は、両手で差し出し両手で受け取るのがマナーですが、それをすると膝の上にパタンと倒れてしまいます。身体の近くで名刺を両手で持ったのち、名刺を右手に持ち替え、左手を膝について体を支え、「片手で失礼します」と言いながら右手で名刺を差し出し、右手で相手の名刺を受け取り、身体の近くに引き寄せた後に両手でもって確認する、というようにしています。

    アフターコロナの名刺交換はスマホで、という流れになりそうです。その時でも、両手で操作するのが正しいマナー、なんてことにならないことを期待しています。

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    ディーさん

    脊椎損傷、車椅子運転歴36年

    車椅子ユーザーのディーです。
    車椅子だから感じること、
    車椅子だから見えること、
    などなど
    日々感じたことを綴ってまいります。

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