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鉄印の旅3 天龍浜名湖鉄道編

去年の秋に 近場の鉄印を手に入れたい!ということで静岡県の天竜浜名湖鉄道 天竜二俣駅を目指すことにしました。

朝9時に家を出てまずはJR岡崎駅、豊橋駅を経由して始発駅の新所原(しんじょはら)駅に向かいます。ここまでの乗り継ぎは駅員さんの介助もあって、車椅子ユーザー一人でも問題なくスムーズでした。

豊橋駅では女性の駅員さんが乗降用のスロープを準備してくれ、電車から降りると1m程のスロープを畳んで黒いバッグに入れ背中にしょいました。これなら混雑時でも他の乗客の邪魔にならないでしょう。初めて見るスグレ物です。

新所原駅ではJRの建屋を出て隣接する天竜浜名湖鉄道の改札に向かいます。ホームページで事前に調べたところ改札までには5段の階段があり駅員さんに上げてもらわないといけないとのことでしたが、数年前、JRの駅舎が改築された際にスロープもできたようで、人の手を借りることなく改札まで行くことができました。改札のすぐ脇で鰻を売っているのには驚き!

発車の時間が迫っていたので美味しそうな匂いに後ろ髪ひかれつつホームへ出て、準備してくれていたスロープを使い乗車します。車両乗降口に高さ20cm程の段差があるので、介助者がいたとしても車椅子での乗降にはスロープが必須でしょう。天竜浜名湖鉄道の駅はほとんどが無人駅なので、車椅子で乗り降りできる駅は限られています。

車内では、運転士席の真横に車椅子スペースがあり、運転士気分が味わえます。この車両は電気ではなくディーゼルエンジンで動くので、線路上に架線が無く前方の視界が開けていて、本当にどこまでも行けそうな気分になります。また、何ヵ所かある線路脇の木々が鬱蒼と茂る所では、森のトンネルに吸い込まれ異世界へ行ってしまうかのような気分にもなります。通り過ぎる駅は個性的な所もあって、特に「浜名湖佐久米駅」は文字通りホームの目の前が浜名湖で、たくさんのカモメが迎えてくれました。あと、車両の先頭に乗っているから気付いたこととして、遮断機の無い小さな踏切が結構な数あるなあと。なかには森の中から急な坂を降りて線路を渡ってまた森の中に続いていく細い道。いったいどんな人が使っているのだろう?もしかすると人ではないのかも(笑)。

新所原駅を出て約70分、目的地天竜二俣駅に到着です。昔ながらの駅ですが、ホームと駅舎をつなぐ通路はスロープになっています。とはいえ傾斜は強く手すりも無いので、昇る時は駅員さんに押してもらいました。駅舎の中には売店があり、ここで鉄印が購入できますが、入口に5cm程の段があるので、ここでも駅員さんの手を借り入店。この日は駅長さんが在室だったので、直筆の鉄印を書いてもらいました。売店には他にも多くの関連グッズがあり、一番謎な物は線路の石缶詰。こういう缶詰って買ったあと開けるのだろうか?(笑)

続いては国の登録文化財の転車台を見に行きます。駅主催の見学ツアーもあるのですが、残念ながら車椅子での参加は階段があり無理とのこと。駅の状況やそこで働く人達の年齢などを考えると、合理的配慮って難しい。Google Mapを見ると道路から見えそうなので、駅舎を出て向かってみます。600m程進むと歴史を感じる建物がありますが、どうも裏側に出てしまったようで、関係者以外立入禁止の看板とロープで塞がれています。再度mapを確認すると、転車台が見えそうな所までは100m程坂を上らないといけないようで、しかも歩道が無い。というわけで、旅の目的二つ目は未達。しかしながら、旅全体としては十分楽しく、桜の咲く頃に再び訪れたいなと思っています。

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ディーさん

脊椎損傷、車椅子運転歴36年

車椅子ユーザーのディーです。
車椅子だから感じること、
車椅子だから見えること、
などなど
日々感じたことを綴ってまいります。

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