インクルーシブコラム

インクルーシブデザインの事例インクルーシブデザイン&デザイン思考

事例から考えるインクルーシブデザイン(8)Appleのユーザー・エクスペリエンス4

みなさんはAppleのPC、Macと、Windows PCの一番の違いが何か分かりますでしょうか?このコラムの第4回でお話したGUI(グラフィック・ユーザー・インターフェイス)はAppleが初めてWindowsが真似ているので、基本操作はほぼ同じで、少し慣れれば使うことができます。会社とプライベートや業務の種類によって使い分けている方も多いのは、これも理由の一つでしょう。一番の違いはMacはApple一社だけで作られており、Windowsは様々なメーカーによって作られていることです。同様の事はAppleのi-PhoneとAndoroidにも言えますね。簡単に言うと、Windowsがそれまでメーカーごとに違っていた操作やオペレーションを統一し、見かけ上同じように見え、操作ができるようにすることから初めていることに原因があります。これによって、多様なメーカーのPCで同じオペレーションを可能とし、一気に世界中で大きなシェアをもつことに繋がりました。
ところがAppleはPC、オペレーティングシステムとも自社開発に拘っています。これはなぜでしょう。理由の一つがWindows PCのように様々なメーカーが様々な仕様で作っていると、アプリや周辺機器との不整合性が生じることがあることです。これはAndoridでも同じことが言えます。メーカーが独自性を持たせるためにオリジナルのアーキテクチャーや機能を追加していたり、アプリを入れているため、これによって別のアプリに不具合や動作不良を起こさせることがあります。PCに詳しい方であれば問題なく解決できると思いますが、一般の方では難しいでしょう。また、様々な分野のプロが使う場合でも、グラフィックや色の再現性が統一されており、動作不良が生じても原因が掴み易いことからmacが使われることが多くなっています。WindowsやAndroidは、大きなシェアを得るために、多少の不具合や統一性のなさは目を瞑らざるを得なかったのに対し、Appleはシェアにこだわらず、徹底的にユーザー・エクスペリエンスを大切にすることを選択しました。これが結果的により多くの人にとっての使いやすさを生み、包括していくことにつながっています。Appleが今のように巨大に成長できた裏には、創業時から脈々と受け継がれているこの哲学とも言える姿勢が大きな役割を果たしていると思います。

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