インクルーシブコラム

障がい者視点の新商品開発・新事業・ビジネスモデル事例

これからを生き抜くためのイノベーション(1)

世界のビジネス状況の変化

 時代の変化が早く激しくなっており、対応に苦慮されている方も多いのではないでしょうか。この変化の中で生き抜いていく、さらに成長を遂げていくためにはイノベーションが欠かせないと思います。
 歴史を振り返ってみても、世の中の変化に対応できたかどうかで明暗を分けていることはご存知でしょう。少し古いお話ですが、エジソンが発明した白熱電球の事業化を始祖とするジェネラルエレクトリックが、日本の家電企業の攻勢に業績不振に陥り、ジェネラリー・ノット・エレクトリックと自らを称するまで家電とは異なる分野に軸足を移して成長したことは有名です。
 生き残りをかけて困難な時代を乗り切り、成長に繋げる、そんな変貌をとげられたら素敵ですね。この大きな変化をチャンスに変え、飛躍するためには何が必要なのか、どのようにしていけば良いのか、みなさんと一緒に考えてみたいと思います。最初に、前提として知っておいた方が良い世の中の変化について3回に分けてお伝えします。
 まず、現在のビジネスの状況を俯瞰してみましょう。2021年1月7日のAFP通信によるとテスラの時価総額が74兆円に達し、自動車大手のGM、フォード、トヨタ、ファイアット&クライスラー、フォルクスワーゲンの合計時価総額(合計した生産台数4400万台)を上回りました。また、8月27日の日経新聞の記事で、GAFA(Alphabet(google), Amazon, Facebook, Apple )の合計株式時価総額が770兆円に達し、日本企業全体の750兆円を超えたことが報じられています。たった4社の時価総額が日本企業全体を上回る、驚愕の事実です。これは何を意味していると思いますか? たった50万台程度の生産台数しかなく(2020年)、排出権取引の利益でやっと黒字化しているテスラ、アップルを除くとモノ作りも販売もしていないGAFの時価総額がこれだけ高いのはなぜでしょう。
 2019年の世界時価総額ランキングの上位50社を見ると、34社がアメリカ企業、中国企業が6社、他スイス、台湾、韓国、フランスなどの企業が続き、日本企業で唯一ランクインしているトヨタが43位です。1989年に行なった際は日本企業が32社もランクインしていたこと比較すると、その差は歴然としていますね。

 この違いは、投資家がその企業に未来を、成長性を感じられるかどうかの違いと思って良いと思います。ランキングを詳細に見てみると、GAFAMのビックファイブに代表されるICT関連企業の増加、ジョンソン&ジョンソン、ロシュ、ユナイテッドヘルスなどの医療・医薬系企業の増加、ウォルトディズニー、コムキャスト、ネットフリックスなどのエンターテイメント企業の増加がわかります。
 これが表しているのは、世界で求められているのがモノよりも情報や情報処理・活用で生み出されるコトであり、世界的な高齢化への対応であると推測できます。また、時価総額を比較していただくとわかるように1989年の一位の額と2019年の50位の額がほぼ同じになっており、グローバル化、各国の金融緩和、経済規制緩和などにより絶対額が大きく増加する中で、日本企業はこの波に乗り切れなかったとも言えると思います。増加の要因は中国マネーの増加や富の集中による投資額の増加など他にもありますが、ここでは言及いたしません。
 重要なのは、モノやサービスの技術、品質などの優位性で世界を席巻していた日本企業、決して努力を怠っていたわけではなく、グローバルに進行したパラダイムシフトに対応できなかったことが、この状況を生んだ原因になっていることです。また、電気製品、自動車などの工業製品の品質が世界的に向上してきており、技術や品質で優位性を保つことが困難になってきていること、資源・環境の問題からモノづくりに対する将来性が懸念されてきていること、そして作ろうとしている世界が未来志向と感じられていないこと。この三つも要因になっています。これまでの成功体験、特に2008年のリーマンショック以前に培われたものでは対応が困難になっていることがこの事実からわかると思います。
 こういったことを読み解きながら、変化する世の中にどう対峙していけば良いのか、いっしょに考えてみませんか?

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IDSのよこすかです。
だれにでもイノベーションは起こせると思っています。

そのために必要な知識やスキルをできるだけわかりやすく
お伝えしたいと思っています。
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