インクルーシブコラム

障がい者視点の新商品開発・新事業・ビジネスモデル事例

これからを生き抜くためのイノベーション(3)少子高齢化・人口減少

これからの時代を生き抜いていくために知っておいた方が良い世の中の変化についてお伝えする3回目です。
 既にご存知と思いますが、日本は超高齢化社会に突入しており、65歳以上の人口割合は28.4%(2019年、総務省統計局)、2023年には50歳以上の割合が過半数を越えると言われています。
少子高齢化は問題だと言われますが、これ自体が問題なわけではありません。出生人数が減少し、高齢者の比率が増加していくこと、これに伴い日本の人口が減少に転じているのは事実ですが、これそのものは事象に過ぎず、問題なわけではありません。問題なのは、これによって引き起こされている労働人口の減少、過疎化や限界集落の発生1)、税収減による公共交通、上下水道、道路、橋梁、病院などの公共インフラの維持管理が困難になることなどが挙げられます。高度経済成長期以降に多くがつくられた社会インフラが建設から50年を経過するものが、2033年時点で道路橋で約63%、トンネルで約42%と見込まれており、その割合が増加傾向にあります2)。例えば宮城県では水道料金の上昇を抑えるために2022年より上下水道を民営化することを決定しました。鉄道も利用者減少による維持困難な状況はご存知の通りで、地域鉄道全95社中74社、約8割が赤字の状態です3)。
 ビジネスへの影響を考えても、高齢化・人口の減少は市場の縮小に繋がります。既に多くの企業が海外進出を行なっているのも、これが一つの要因ですね。ではグローバルに展開させすれば安康でしょうか。2060年には世界の総人口に占める65歳以上の割合が17.8%に達すると見込まれています4)。先進国ではすでに20%を超えてさらに増加していきますし、世界の経済を牽引していた中国は、一人っ子政策の影響により2030年ごろから急激に高齢化が進んでいきます。不確定なことが多い未来予測の中で、人口構造の変化についてはほぼ確定的で、戦争・疫病などによって突発的に減少は生じる可能性はあっても、大きく増加することはありません。
 人口動態と経済についてはさまざまな分析が行われていますが、少子高齢化・人口減少はマクロ経済に負の影響を与えるというのが定説になっています。2030年ごろから世界的にも進行していく少子高齢化が世界の経済に負に働く可能性が高い、この事実はしっかりと認識しておく必要があります5)。少子高齢化の先進国である日本の動向に注目が集まっているのも、労働人口の減少と税収減、インフラの維持管理、医療・介護費用の増大など逃れ得ない課題に対し、どう対処するかどの国も答えを探しているためです。
 この状況に対処するためにはどうすれば良いでしょうか。誰も答えはもっていませんし、また、だれも経験したことのないことに対し、正解を求めることはナンセンスです。確実に言えるのは、考え方、行動を変えて対処していかないといけないということ。悲観的になるのではなく、状況の変化をチャンスと捉えて飛躍するための契機に変えていくこと。まだ小さな動きではありますが、日本も含め世界各国でさまざまなトライが行われています。共通しているのは、地域密着、分散処理、人間中心でしょうか。マクロに捉えて対処しようとすると困難な課題でも、地域ごとの特徴を捉え、対処していくこと、心の豊かさや生きがいを中心に考えていくこと、従来のやり方でこれをやるとコスト増になる部分を、市民・企業・行政が協働することで解決につなげようとしています。これについては別途詳しくお伝えします。
 みなさんのビジネスや担当されていることについても、どのような影響があり、どんな対処が可能なのか、考えることから始めてみませんか?

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【参考文献】
1)総務省 過疎地域等における集落の状況に関する 現況把握調査報告書(令和2年)
2) 国土交通白書2020
3) 国土交通省 地域鉄道対策 
4) 内閣府 平成30年高齢社会白書 高齢化の状況
5) 財務総合政策研究所 経済成長と人口動態 

IDSのよこすかです。
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そのために必要な知識やスキルをできるだけわかりやすく
お伝えしたいと思っています。
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