インクルーシブコラム

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これからを生き抜くためのイノベーション(4)地球温暖化

これからの時代を生き抜いていくために知っておいた方が良い世の中の変化についてお伝えする4回目です。
 2021年のノーベル物理学賞に真鍋淑郎さんが選ばれましたね。大気と海洋を結合した物質の循環モデルを提唱し、二酸化炭素濃度の上昇が地球温暖化に影響するという予測モデルを世界に先駆けて発表したとのこと。人間の活動が具体的にどのように地球環境に影響していくのか予測可能にした偉大な研究だと思います。

IPCC第4次評価報告書によれば、温室効果ガス別の地球温暖化への寄与は、二酸化炭素76.7%、メタン14.3%、一酸化二窒素7.9%、オゾン層破壊物質でもあるフロン類(CFCs、HCFCs)1.1%。石油や石炭などの化石燃料の使用による二酸化炭素が最大の温暖化の原因と言われてます。
この二酸化炭素濃度は、産業革命前1750年の280ppmから2013年には400ppmを超え、実に40%以上も増加しており、IPCCでは、大気中の二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素は、過去80万年間で前例のない水準まで増加していると報告しています1)。この影響はご存知の通り、まず温暖化、気候変動となって現れています。現在平均気温としては1℃程度の上昇で、これだけ見ると大したことないように思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、世界的に極端な高温、大雨、農業への影響や干ばつを引き起こしています2)。

ここ数年、異常気象による災害の増加は実感されているのではないでしょうか。米の高温障害も顕著になってきていて、高温に強い品種への切り替えも進んでいますね3)。米以外の作物、野菜や果物、さらには畜産や水産にも影響が出ています4)。食料自給率が低い日本では世界的な食料不足は大打撃になる可能性があります。他にも熱帯や亜熱帯の害虫の北上、例えばヒトスジシマ蚊の北上によるジカ熱、デング熱の媒介も問題となってきています5)。海水温度の上昇による膨張と氷河などの融解による海面上昇も生じており、南太平洋の島嶼が水没の危機にあることはご存知のとおりです。日本でも東京、名古屋、大阪などで海抜0メートル地帯での水害の危険性が指摘されています6)。
 世界の二酸化炭素排出量に占める日本の割合は3.2%で5位、一人当たりの排出量で見ると8.5t/yで4位です7)。日本だけが対策しても大きく減らすことはできませんが、世界各国と協調して排出量削減していくことは急務ですね。特に異常気象による災害の増加や、食糧危機はすでに影響が出ています。早く元を絶っていかないと取り返しのつかないことになる可能性があります。

 企業の存続を考える上でもこういった事象は無視できませんね。今までは直接関係ないから、と傍観していた企業でも、ここまで変化が顕著になってくると影響は確実に受けるようになります。最近では中国も環境問題に積極的に対応するようになってきており、欧州、特にドイツでは発電の65%を脱炭素化する目標に向けて進めています8)。こういった動き、変化を捉え、どのように事業を変革していくか、一緒に考えてみませんか?

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【参考文献】
1)温暖化とは?地球温暖化の原因と予測 全国地球温暖化防止活動推進センター
2)気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第 6 次評価報告書 第 1 作業部会報告書(自然科学的根拠) 政策決定者向け要約(SPM)の概要(ヘッドライン・ステートメント) 環境省
3)農業生産における気候変動適応ガイド 水稲編 令和2年12月 農林水産省
4)地球温暖化対策の加速化 ア 地球温暖化による食料生産への影響 農林水産省
5)蚊が運ぶ感染症 温暖化で高まるリスク 2020年8月26日東京新聞 
6)ココが知りたい地球温暖化 海面上昇とゼロメートル地帯 国立環境研究所地球環境研究センター
7)データで見る温室効果ガス排出量(世界) 全国地球温暖化防止活動推進センター
不退転の決意で臨む「エネルギー改革」(ドイツ) JETRO 地域・分析レポート

IDSのよこすかです。
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