インクルーシブコラム

障がい者の生活にある不便とユニバーサルデザイン

高齢者の方のスマホ操作事情:私の母のスマホデビュー

母がスマホを買った

「スマホなんかよう使わん。」
そう言い続けていた母が、 スマホ使ってみようかなとつぶやいた。 らくらくホンにさえ手を焼いているのにどういう心境の変化?と思いつつ、 本人がその気になっている今がチャンスとR社のスマホを注文。 3日ほどで到着しました。

しかしここからが長い道のり 。

まず、指紋登録。センサー部分を押す、深く押す、軽く押す、 指の向きを変えて繰り返す。 これ無理でした、いろいろ説明しても動作がほぼ一緒になってしまう 。早々に指紋認証は諦めました。

続いて顔認証。 画面を見ながら白い◯を押す。 白い◯ってどこ、と画面をこちらに向けるので、 顔がうまく写りません。 結局母には画面を見てもらうだけにしてシャッターは僕が押してなんとか登録完了 。

続いてロック解除。 横のボタンを押したら、正面から画面を見る。 これはすんなりとできました。 と思ったら翌日、画面が変わらん、とスマホを差し出してきました。 夜のうちにアップデートが走ったのか、暗証番号を入れろとメッセージが出ています。 これを説明するのは難しい。 しかも入力用のテンキーは大きく表示されていますが、暗証番号を入れろのフォントは小さく 、これは眼鏡がないと読めんと妻も言っていました。

通知メッセージのフォントも変えられるのかな。 他にも何らかの通知が入るたびに顔認証に入る前の操作が必要になるので、最終的に画面ロック自体を諦めました。 今まで使ってたガラケーもロックしていなかったし、まあいいか。

次に、かかってきた電話に出る 。最初のうちはどうするどうするとパニック気味でしたが、何度か練習したら慌てないようになり、割とすんなり合格。
問題は掛ける方。スマホの画面からは使わない(使えない)アイコンは削除し、電話とカメラのアイコンのみにしました。これなら操作ミスは減らせるだろうと期待したのですが、甘かった。
受話器のマークを押す、こういったら皆さんはどうしますか? たぶん画面に触れるだけだと思いますが、母は言われた通りにギューッと押します。 すると長押しモードになりホーム画面の編集が始まります。ギューッと押すんじゃなくて触れるだけ(実際にはイラッとした口調で、笑)この触れるだけという動作も難しいみたいでギューッと押した後はすんなりと指を離せるのですが、触れただけだと指をスライドさせてしまうことが多く、そうすると画面が変わってしまいます 。

何度も練習しましたが、今でも3割くらい失敗します。 先日病院へ行った時はスマホが使えず受付の人にタクシーを呼んでもらったそうです。しばらくは着信のみになりそうな気配 。スマホの開発者の方には高齢者の動作を1000人位観察して欲しいです。

追記
新しいスマホを持つこと自体は嬉しいらしく、手帳型のスマホケースを更に巾着に入れています。なので着信音が聞こえにくいし、気づいてもなかなか出られません。

*気軽に参加いただける体験会/オンライン体験会も実施中。詳しくはこちからら>>

ディーさん

脊椎損傷、車椅子運転歴36年

車椅子ユーザーのディーです。
車椅子だから感じること、
車椅子だから見えること、
などなど
日々感じたことを綴ってまいります。

最新のレポート