名古屋市にある当知中学校でキャリア教育の一環として行われた、中学校1年生の美術の授業にリードユーザのジオング(車椅子ユーザー)とまーちゃん(視覚障害者ユーザー)が1月に講演講師、3月に審査員として参加させていただきました。
授業のテーマは「人に優しくすることの大切さを学ぶ」です。誰に対しても使いやす・わかりやすいを目指して、その第一弾として、生徒一人一人が身近なユニバーサルデザインの日用品のアイデア考え、形にする(粘土で創作)ということが今回の授業のゴールです。
1月の講演では、ジオングが「インクルーシブデザインとは」「ユニバーサルデザインとインクルーシブデザインの違い」「車椅子ユーザの困りごと」などを説明し、まーちゃんは「視覚障害の見え方」や「日常の生活での工夫」などを話しました。難しい話ばかりでは、生徒の皆さんの理解も進みませんので、ちょっとしたワークも行ってみました。
一番盛り上がったのが「触った物が何か?」を当てるゲーム。実際に生徒さんが目隠しをして、袋に入った10円玉を触って当ててもらいました。
講演の最後は、普段では出ないくらいたくさんの質問の嵐。生徒の皆さんが興味関心を持っていただけたのではと大変嬉しくなりました。
リードユーザの講演だけでなく、名古屋芸術大学の先生からもたくさんの気づきをもらった生徒の皆さんからはとてもユニークなあったらいいなという身近な日用品のアイデアがたくさん集まりました。最終審査では、1次審査で絞られた作品について直接生徒の皆さんから使い方のやデザインで工夫をした点などを発表してもらい、6作品を選考しました。どれも、甲乙つけ難い力作ばかりで審査は大変苦労をしましたが、それぞれ下記の6つの賞に選ばれました。
みんなが助かるで賞:やわらかい素材の靴
手がない人が靴を履くときの不便を解消するために自分の体重で靴の底が沈み込んで足にフィットするもの
逆に脱ぐときは足を上にあげて、簡単に脱ぐことが可能
使ってみたいで賞:アイスキャッチ
アイスをゆっくり食べたい人や食べるスピードが遅い人のために棒アイスを食べている途中に
アイスが溶けても皿が受け止めるアイデア
思いやりがあるで賞:体の性別と心の性別があっていない人のマーク
ジェンダーレスの人のためにヘルプマークを作成青と赤に分かれており、青の部分にスカートを履いた人、
赤色はズボンを履いた人を表現している
ワクワクするで賞:シャンプー、コンディショナーの違い
目の不自由な人にとってシャンプーとコンディショナーの違いがわかるように立体文字、
記号(ハート型やダイヤ型)をつけて分かりやすく表現している
新しいデザインで賞:シャーペンのクリップ 〜in ペンギン〜
手がうまく動かず握れない方へ握りやすい形状にしたペンクリップです
誰もが使いたいと思えるように、動物型にしている
商品化に期待するで賞:ほちょうき
補聴器をイヤホンと間違える方がいるので、補聴器の見た目をアクセサリーのような形状にしている